2023年9月5日(火)ー9月15日(金) ※10日(日) 休廊
10:00-17:30(最終日 15:00まで)
このたびオリエアート・ギャラリーでは、棚橋荘七の木版画展を開催します。
今回の個展は2018年札幌の大通美術館での個展以来5年ぶりの開催で、東京での個展としては2008年の銀座以来14年ぶりということになります。版画を始めてこの20年の間試行錯誤の繰り返しでしたが、最近漸く自分らしい世界が少しずつ見えてきました。これからも気力・体力が続く限り自分らしい作品づくりを目指していこうと思っています。
今回の個展はこれまでの作品の中から正方形サイズ作品を選んで、大型作品4点、中型作品12点、小型作品20点、計36点を展示予定しております。この機会に是非ご観覧いただければ幸いです。(棚橋荘七)
発想と構想|アイデアの原点は今日まで直に手で触れたもの、目で確かめたもの、自分の感覚で感じたもの、そんな日常繰り返してきた記憶の積み重ねを掘り起こしイメージ化したものです。風化した木目、錆びついた鉄、角が取れた小石、揺らいだ水面、枯葉の香り、季節を感じる風、浜辺に寄せる波音、等々これらの自然現象は「1/Fのやすらぎ」と言って人の五感に潤いと快適性を与えてくれます。それをテーマに丁寧に掬い取り版画で表現出来ればと思っております。
描く|イメージを具体化し形にしていく作業です。モノクロのスケッチで下絵を描きますが、この時点で構図、インパクト、そして配色効果、色版の分解まで考えながら描きます。納得がいったスケッチをもとにそれを実物大にコピーしトレースし漸く版木に転写します。この段階で重要な事はこの下絵で問題ないか!確信を持ててから取り掛かる事がとても重要になります。
彫る|木版画のプロセスで最も楽しく夢中になれる作業です。私の作品の場合、彫りの段階が大きく決め手になる事が多いので、版画制作の中で時間の半分以上これに費やします。小作品は3~5日で仕上がりますが、大型作品ともなれば1か月を超える事もあります。長期間の時は、集中力との闘いとなり上手く彫り終わった時の達成感は格別なものです。
摺る|この最終過程はとにかく体力との闘いになります。大型作品となると想像以上の重労働になります。ひと刷りごとに全体重をかけ、そしてバレン圧の強弱を計算し、和紙の水分の状態を確認しながら同時に進行します。この行程を繰り返すのが木版摺りの実態です。それゆえに一点々表情が少しずつ変わってくる事になりますがそれが創作版画の魅力にもなります。
最終チェック|自分としてはいかに無駄な部分はそぎ落とし描きたいエッセンスだけを残し、シンプルな表現になっているか?そして毎回自分にとって新しさが出せているか?いつも自分とのせめぎ合いが続いています。
棚橋荘七 Soshichi TANAHASHI
1950年北海道に生まれる。1979年マッキャンエリクソン博報堂入社 制作局勤務、国内外の広告賞を多数受賞。
2004年にマッキャンエリクソン退社後、2005年に木版画家として活動開始。
2005 GINZA ESTにて個展 ’08
2006 竹中工務店東京本社特設ギャラリーにて個展
「銀座るたん」にて個展
2009 日本版画協会版画展〈第77回~第81回〉
第6回飛騨高山現代木版画ビエンナーレ〈奨励賞〉
2012 第28回上野の森美術館大賞・入選
2013 日本版画協会・準会員
2015 第6回山本鼎トリエンナーレ版画大賞展・入選
第9回飛騨高山現代木版画ビエンナーレ〈準大賞〉
2015 川上澄生美術館木版画大賞・入選〈第22回・23回〉
2018 第7回山本鼎トリエンナーレ版画大賞展〈準大賞〉
第86回日本版画協会展〈準会員佳作賞〉
札幌・大通美術館にて個展
日本版画協会・会員
2020 第11回高知国際版画トリエンナーレ・入選
2023 第26回川上澄夫美術館木版画大賞〈審査員特別賞〉
【ご来廊時のお願い】
*発熱、頭痛、咳、倦怠感など体調のすぐれないお客様はご来廊をお控えいただくようお願い致します。
*マスクのご着用をお願い致します。
またご来廊時には入口にて手指のアルコール消毒にご協力いただくようお願いしております。
*万が一関係者などから新型コロナウイルス感染症の発症があった場合、連絡を差し上げられるよう、
会場受付の来場者名簿へご連絡先の記入をお願い致します。
*ギャラリー内ではなるべくお静かに鑑賞ください。
*混雑が発生した場合は、入場制限をすることがございますのでご了承ください。
また室内換気のため、常時ドアを開放しております。スタッフは毎日必ず検温を含む健康チェックを行い、手洗い、消毒液による殺菌をこまめに行なっております。予防対策としてマスクを着用しご対応させていただきます。
何卒ご理解ご了承くださいますようお願い申し上げます。