2025年6月13日(金)ー7月1日(火) ※土・日曜休廊
10:00-17:30
オリエ アート・ギャラリーでは、西山瑠依の個展を開催します。
モノクロームを基軸とした植物のプロフィール、静謐な印象の作品は、木版画を中心に制作されています。板木を使っての制作でまずこの大きさに驚かされ、また何事もテキパキとした判断をこなす作家を知ると、いよいよこの表現方法の理由が知りたくなります。この疑問は、作家が「触れる時間」を形にする行為として「木版」を選び、彫り、和紙に像を移す中で、思い描いていた形との会合を大切にしているを知り、ようやく腑に落ちるのです。
気づいてみると、木版画は何度も水を潜ってかつ擦られた和紙の存在感に加えて、彫刻と等しいほどに手の痕跡が鮮やかです。木は水を多く含むほどにその生きた姿の証である肌を表し、和紙へのにじみを堰き止める彫の切り立った境界の頑強さも見えてきます。植物の姿を借りて追求される生命のテーマに、揺るぎない根拠をもつ手段です。テーマとして選ぶ植物は、花の盛りのみならず枯れゆく姿までさまざまに、時に裏摺りを加えたレイヤーとして表され、生命の尊さと美しさに隠れたけなげさを同時に目にすることになる仕掛けがあります。加えて、水馴染みの良い画面の上層に加えられたマットな白の際立ちによって、一層自然への憧憬を呼び起こされるのです。
本展では「木版画が織り成す湿度」をテーマに静けさの中に力強さを秘めた木版画や鉛筆画、全長3メートルに及ぶ屏風による大作など、板木と和紙から生まれる繊細で柔らかな質感の作品をご紹介いたします。作品に流れる叙情的で静謐な空気感や「湿度を帯びた時間」を会場でぜひご高覧ください。
西山瑠依 Rui NISHIYAMA
1986 神奈川県に生まれる
2014 多摩美術大学大学院 博士前期課程版画研究領域 修了
現 在 日本版画協会 会員
●おもな展覧会(近年)
2017「西山瑠依 展」(ガレリア・グラフィカbis/東京)
2018「西山瑠依 展」(小杉画廊/神奈川)
2019「西山瑠依 展」(オリエ アート・ギャラリー/東京)
2022 PAT in Kyoto 第3京都版画トリエンナーレ2022(京都市京セラ美術館)
2023「西山瑠依 展」(ギャラリー「間」/千葉)
2024「月華に照らされて」(ギャラリー・フィールド/東京)